「子どもについて」という詩

 カリール•ジブラーン(Kahlil Gibran 1883-1931)というレバノン出身の詩人の詩を紹介します。(沢山の方が訳していて、それぞれ味わい深いので、ぜひ探してみてください。原文も最後に載せますので、英語で読める方はそれが一番おすすめです。)ただただ、じっくり味わっていただいて、できるなら目につくところにでも貼っておいていただきたい詩です。大人は、このようにありたいなあと思います。

 


『子どもについて』 

赤ん坊を抱いたひとりの女が言った。

どうぞ子どもたちの話をしてください。

それで彼は言った。

あなたがたの子どもたちは

あなたがたのものではない。

彼らはいのちそのものの

あこがれの息子や娘である。

 

彼らはあなたがたを通して生まれてくるけれども

あなたがたから生じたものではない、

彼らはあなたがたと共にあるけれども

あなたがたの所有物ではない。

 

あなたがたは彼らに愛情を与えうるが、

あなたがたの考えを与えることはできない、

なぜなら彼らは自分自身の考えを持っているから。

 

あなたがたは彼らのからだを宿すことはできるが、

彼らの魂を宿すことはできない、

なぜなら彼らの魂は明日の家に住んでおり、

あなたがたはその家を夢にさえ訪れられないから。

 

あなたがたは彼らのようになろうと務めうるが、

彼らに自分のようにならせようとしてはならない。

なぜなら命はうしろへ退くことはなく

いつまでも昨日のところに

うろうろ ぐずぐず してはいないのだ。

 

あなたがたは弓のようなもの、

その弓からあなたがたの子どもたちは

生きた矢のように射られて、前へ放たれる。

射る者は永遠の道の上に的をみさだめて

力いっぱいあなたがたの身をしなわせ

その矢が速く遠くとび行くように力をつくす。

射る者の手によって

身をしなわせられるのをよろこびなさい。

射る者はとび行く矢を愛するのと同じように

じっとしている弓をも愛しているのだから。

 (訳:神谷美恵子)

 

 <原文>

On Children From The Prophet(1923)

 

And a woman who held a babe against her bosom said, Speak to us of children,

And he said:

Your children are not your children.

They are the sons and daughters of Life's longing for itself.

They come through you but not from you,

And though they are with you yet they belong not to you.

 

You may give them your love but not your thoughts,

For they have their own thoughts.

You may house their bodies but not their souls,

For their souls dwell in the house of tomorrow, which you cannot visit,

not even in your dreams.


You may strive to be like them, but seek not to make them like you.

For life goes not backward nor tarries with yesterday.

You are the bows from which your children as living arrows are sent forth.

The archer sees the mark upon the path of the infinite,

and He bends you with His might that His arrows may go swift and far.

Let your bending in the archer's hand be for gladness;

For even as He loves the arrow that flies, so He loves also the bow that is stable.